秋の夜長の観賞会 無事?開催

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10月20日(火曜日)

すっかりご無沙汰してしまって・・・ 約二カ月は空きすぎです・・・すみません!!

朝晩すっかり寒くなって、温かいお風呂が嬉しい季節ですが・・・なんだか今日はあったかい?暑い?変な気候です。くれぐれも体調には気を付けてくださいね。

さて、先日彩匠では、毎年恒例の「秋の夜長の観賞会」を開催いたしました。 はい、毎年倉敷大原美術館の裏手にある「新渓園」をお借りしての、年に一度教室をでて、普段見る事の難しいものを、岡山の地で観賞する会。なのですが・・・

今年は大当たり!! 10月13日の月曜日(体育の日・祝日)は、岡山には珍しい、台風の大当たりの日でした。 さらに予定していた16時~20時はさらに丁度台風が岡山に最接近の時間!!  今まで一度もお天気の心配をした事が無いのに・・・ 本当に大当たりでした。

お陰で、前日準備のために、植物の採取を山でしながら・・・悩み続けました。 だって、前日はメッチャいいお天気だったし・・・当日の朝も、きっとあまりお天気悪くないだろうと、予測できるものの・・・ 会そのものの時間帯は? 参加者の行き帰りの安全は? どこで、主催者として区切りをつけるべきなのか??? お弁当をお願いしている事もあるし・・・ 取って帰った植物の下準備をしながら、ひたすら悩み続けました。

「展示予定品は手元に届いている」「作品の説明をしてくれる方は、必ずこられる」「下準備は出来ている」そして何より、参加予定の方々から「明日は決行ですよね!」「中止はあり得ないですよね」とメールが届く・・・ 「誰も来ないという選択肢を持っていない以上、皆の安全を何より確保するために・・・」

そして、それらの条件を満たす方法を、思いつきました。 時間に縛られない教室での開催にしよう。 会そのものは小規模になっても出来る。時間帯を早めれば、参加してくれる方々の、安全の確保も出来る。 作品も、説明に来てくれる方も無駄足にならず、勉強したい参加希望者の希望もかなえられる!! お弁当屋さんには、その場でキャンセルの電話、ただし、お昼には数が減っても注文する旨を伝えて、迷惑を最低限に抑える。 会場にもキャンセルの旨を伝えて、来年のお願いをする。そして、参加予定者に、会場と時間の変更をお知らせして、安全を第一に考えるようお願いをしました。

それらが終わったのが、17時過ぎ。 そして、そこから会場設営開始です。 50畳の会場で予定していたディスプレイを元に、25畳足らずの教室へ・・・ 四苦八苦しながら、作品と植物たちを並べてゆきます・・・ なにせ、ど素人の私と学院長の二人・・・ 毎年50畳の新渓園の会場づくりも大変ですが、小さな会場に収めるのは本当に大変でした。

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玄関の見附のしつらえ 観月会をイメージした帯。 三方には里芋を。 春慶塗りの花器には水引を。そして、ダイナミックにススキを投げ入れ足元にはアケビを這わせました。何とも言えない地の色と、金糸で織られた繊細な秋草の柄、その背景にある半月・・・どんどん引き込まれ、吸い込まれそうな帯でした。

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そして、今回のメインの「練金のうち掛け」と、「練金の帯」 背景には笹竹、脇にススキとシダとアケビ。

練金のうち掛けは、「お見事!!」という言葉しか出てこない、素晴らしいものでした。 狂言の世界で使われる為に、作られたもののようでしたが、必ずなにかあった時の為に、2枚作るものだとお聞きし、驚きと、納得と同時に、「本当に大変なんだなあ~」と思いました。

練金の帯たちは、独特の手触りです。そして、本当に微に入り細に入り、丁寧に丁寧に作られている事が感じられ、とっても愛おしくなりました。 そして、一度にこんなに沢山の練金の帯を見れる事に、驚きと感謝です。

 

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素晴らしい袋帯の数々・・・流木やシダ、アケビをはわせ、笹竹を背景に。 一点一点素晴らしいものばかりで、ため息ばかり出てきます。 それぞれの機屋さんのこだわりや個性、技術力の素晴らしさが、ひしひしと伝わってきます。本当に一流品ばかりでした。 手触りの違いにも驚かさせられました。

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ここには、「秋単衣」にふさわしい袋帯と、めちゃめちゃお洒落な小袋帯、さらには珍しい男性の組の角帯が並びました。

単衣にふさわしい帯って、以外に難しい・・・ 薄めの帯で・・・なんて考えるのですが、この帯たちは、透けてはいるけど、透けすぎない!本当に繊細な帯で、単衣にふさわしいとは、こういうものなんだ。と納得しました。小袋はもちろん両面使い。何より本当にお洒落!! 「そうそう、こういう小袋帯が欲しかったのよ!」とうなずく帯でした。実際はなかなかお目にかかれませんが・・・ そして珍しい男性の角帯。それも組帯です。 紬の角帯は目にする機会がありますが、組帯の角帯は珍しい・・・締め心地よさそうでしたね。

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そして、九寸名古屋帯。 どの帯をとっても、こだわりを感じさせられる帯たちでした。 織り帯でも名古屋だから、お洒落に楽しんで身につけてもらいたい。作者の思いがひしひしと伝わってきます。

設営を終えて、やれやれと時計を見たら、10時を回っていました。 明日は10時開場予定。説明をしてくださる方は、9時半ごろには来られます。 学院長と二人あわてて、家に帰りました。

朝目覚めてみると・・・ 風は気になるほどではなく、空もまだ晴れています・・・これなら生徒さんたちも安全に行き帰り出来るかな?とホッとしました。

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朝の10時を過ぎると、皆が続々とやってきました。 悩んだ末に、帰り道雨風がひどくなってもいいように、お洋服でこられた方が大半でしたが、着物を着てきてくださった方もいらっしゃいました。 「やっぱり着物、着ればよかった・・・」そんな嬉しい言葉も聞こえてきましたが、説明が始まると、皆がっちり勉強モードです。 どんどん質問が飛び、一点一点の説明を求められ、Wさん大変そうでした。が、もともと機屋の息子さん。そこで生活していないと知り得ない事も、沢山教えていただきました。驚く事いっぱいでしたね!

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そして、説明が終わった後も、しっかり一つ一つを触って、確かめています。 「どうしてこんな風に見えるの?」「このさわり心地は何?」「えっ!色違いだとこんなに雰囲気が違うの?」「これはどんな着物に結ぶといいかな?」などなど・・・ 皆狭い教室で、本当に楽しそうでした。

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午後からも何人か来られて、同じようにしっかり説明してもらって、楽しんでいました。 朝に負けないくらいの人数が来てくれました。なのに、写真を撮れてない・・・ごめんなさい!

午後からは天気予報通り、雨風が強まって、台風だ~!と感じるお天気になりました。 思い切って、変更して良かったなあ~とつくづく思いました。 50畳の会場が、25畳足らずになり、窮屈な思いをさせたなあ~と思いましたが、「これはこれで、良かったよ。」と言ってもらって、ホッとしました。

今回も、帯の問屋Iさんの全面協力のお陰で、会が実現しました。 説明に来て下さった担当者のWさん、楽しい会話も混ぜながら、沢山の知識を与えて下さり、感謝します。 本当にありがとうございました。悪天候の中、それでも参加したい、学びたいと思ってくれる、参加者の皆さんに感謝しています。 でもね・・・中止だってあり得ないわけではないんだよ! 何より皆の安全が一番ですから!

今回は、「会の主催者の責任」について、沢山沢山考えさせられました。 無事に終わってほっとしています。 さあ、すぐに来年は何をしようか?と考えてしまいます。(ちょっと頭痛い・・・)