成人式 こぼれ話3

1月29日(火曜日) 23:00

こんばんわ  夕方に引き続き・・・記憶が薄れないうちに。  今回は成人式での気になる着物の様子をお伝えしようかと思います。 

最近は年々貸衣装ではなく、お持ちのおキモノをお召しの方が増えているように思われます。お母様がお召しになった振袖をお嬢さんが嬉しそうに着ている姿は、その振袖を用意された、お婆さまにとっても何より嬉しいことと思われます。 小物を少し新しくして、着る人の個性に合わせたものにして、成人式に出かけてゆく・・・何だか着物だけではなく今までその振袖にかかわってこられた家族の思いを一緒に身にまとっているように思えて、とっても嬉しくなります。

お直しの一番多い点は、 裾の長さでしょう。 腰にかける紐は緩みやすいものですが、着物が重たくなればなおさらです。 野外での式のため、天候によってはとっても気になるんですが・・・ 大抵は長くなってしまっています。 振袖のお草履は高めですが、それでもなお地面についてしまって、自分で裾を踏んでいるなんて事も多々あります。 腰紐を何人締め直したでしょうか・・・  締めなおすと大抵の子は「あっ!! すごく気持ちよくなった。歩きやすい」と感想を述べてくれます。 裾だけでなく当然おはしょりもなくなりますから、着姿もかっこ悪くなるんですよね。

次に多いのは帯締めが緩んでしまっている。 ほどけてしまっていることもあります。 帯は崩れることもありますし、何より帯そのものもが落ちて(下がって)しまいます。 今年は本当に帯が下がって、緩んでしまっている状態が多かったと思います。  ミスの第一礼装の振袖。 若々しい着付けは、帯の高さというものが大きく関係しています。帯の位置が下がれば下がるほど老けて見える、疲れて見える・・・本当は大変なことです。  帯は帯締め一本で最終的には止まっているといっても過言ではないので、帯締めの緩みは本当に困ります。

その次は、帯揚げでしょうか。 今年は重たいビーズをぐるぐる巻きつけていたり、お花を作ってもらっていたり・・・ けれど着慣れていない方には、お袖が一番良く当たりはずれやすいようです。 また、今年一番困ったのは、胸の大きなお嬢さんに、前からかかっていた帯揚げでした。 両端は帯の飾りに結ばれていたので、解くことができませんでしたが、きりきりの長さで結んであるので、帯と着物の間に食い込むように帯揚げがかかり、よって、胸が帯の上に乗ってしまっている・・・ 想像できますでしょうか? 帯の上に胸が乗っている着姿・・・まさしくお婆ちゃんです。 胸の大きな方は、補正の段階で、胸の段差を少なくし、なだらかなラインになるようにします。 最悪どうしても段差が出来てしまった場合帯揚げを帯と着物の境に厚みを持たせて入れることにより解消するのですが・・・ その帯揚げが食い込んでいてはどうしようもありません。   

帯揚げ帯締め両方に共通して言えることは・・・ 雑誌などでは飾り結びや お花、レース、ビーズ等とっても可愛いですよね。 ちゃんと調べてきて、「こんな風にして下さい」と要望されることもよくあります。 私も可愛いと思うので、出来るだけリクエストに応えます。が・・・ 写真を撮るとか、短時間の着用とか、直せる人が一緒にいる場合だけにしています。 野外に長時間出ている。 壊れているかどうかも定かでない本人や、周囲に直せる人がいない状況がわかっている場合は・・・ すっきりとした、壊れにくい形に整えることに決めています。 当然本人に伝えたうえで・・・  それは着ている本人が困るから。 折角の楽しい時間、煩わされることは一つでも少ないほうがいい。そう思うからです。 

後、毎年必ず2~3点あるのが、お草履が壊れることです。 大抵は裏がはがれてしまう。 今年は鼻緒が切れてしまった草履もありました。 草履の先生とのつながりがあるので、 痛い草履を少し伸ばして足に合わせてあげることは出来ますが、サイズの小さい足袋を履いていて、痛くなったお嬢さんにはどうしてあげようもありませんでした。

毎年何人かは、具合が悪くなって、お直し会場にやってきます。  大抵は胸にかけている紐の位置のまずさ、結ぶ位置のまずさです。 全部脱がせ、少し休ませて着せなおす。必ずいます。  帯を解いて結びなおす子も何人も・・・  朝早くから高いお金を払って、着せてもらっているのに・・・  どうしてこんなことになるんだろう と悲しくなります。 又、「こんなに苦しいなら二度と着物は着たくない」 そんな風に言われると、本当につらくなります。  逆の方もいるんですよ。「成人式の振袖で、着物の魅力に取り付かれました!!」 現に我が彩匠の先生にいらっしゃいます。 一人でもつらい思いをする子を無くしたい。 着物を好きになってもらいたい。 その思いだけで、又来年からもボランティアに行かせていただきます。  成人式に着せた方、一度会場にいらっしゃるといいかもしれませんよ。

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