nana cafe イベント紹介 パート1「職人の間」

9月9日(金曜日)

こんにちは 今日は久しぶりに蒸し暑い一日でしたね。 ちょっと気が緩むとこたえます・・・

さて、昨日お知らせしたように、今日からはnana cafe でのイベントを一つづつ詳しく紹介してゆきますね。 

今日は「職人の間」についてです。 残念ながら、スペースの関係もあって、案内の葉書きには載っていませんが・・・ 実はこの会を開催する上で、私がもっともしたかったのはこの内容です。  昨年5月の会で型紙を出したときも同じ思いでしたが、「職人の仕事について、一般の私たちには知る機会が無い!」 知りようも無い技術を残そうなんてどだい無理な話です。 まずは職人の仕事を、技術を、その素晴らしさを知ってもらいたい。 これは私が仕事をする上での全ての動機であり到達点であり原動力ともいえます。

簡単なのは職人さんに現地に来ていただき、その技術を目の前で見せていただくこと。 確かに可能な職種もありますが、実際にそれをすることは、職人の仕事の手を止めることになってしまいます。 多くの職人は出来高制で生活しているため、それはそのまま職人の生活にかかってきます・・・ でも、知ってもらいたい!! 

今回は一組の帯職人の師匠と弟子の姿と、呉服業界では、最初に消えてなくなるだろうと言われている草履の若手職人二人の姿を写真にて紹介しようと思っています。  ここでは少しずつ作品も紹介しておきますね。

  

まず 最初は帯の職人さんです。 師匠はそろそろ80歳になろうかという伝統工芸士の方です。昔の職人は、機織の音を聞いただけで、なんの帯(帯の種類)を織っているかわかったそうです。 そして本当にすごい人になると、音だけで帯の柄までわかったそうですが・・・この師匠は現代に残る数少ない本物の職人です。 そして、今も新しい柄を考案し、新しい技法を試し、箔を作ること、糸を染めることから取り組む研究熱心な方です。  

そして昨年その職人の元に弟子入りしたのは20歳の女の子でした。 帯問屋さんの娘さんだったせいもあり、沢山の呉服に囲まれて生活していましたが・・・ その中でも師匠の帯が大好きで、親御さんの心配を知りつつも、仕事の大変さを知りつつも弟子入りを志願したといいます。 見かけは普通のいわゆる今時の女の子です。 真っ赤な付け爪に長い付けまつげ、色の白いすらっとした美人ですが・・・ 機に向かう姿、教えをこい、仕事に向かう姿は圧巻です。 「好きこそものの上手なれ」こんな言葉がありますが、日々温度、湿度全てが影響する機織の仕事はそんな言葉では補いきれない大変さがあります。 けれど彼女はいつも前向きに日々日々精進を重ね、自分を受け入れてくれた師匠とその奥さんに、支え続けてくれる家族に感謝しつつ頑張っています。 

  そんな彼女の最初の作品です。 帯地をバッグにしてみました。 「間道」という古来からの柄ですが、こうしてみると思った以上にモダンです。 着物だけでなく洋服、ジーンズなんかに持っても素敵!!

    こちらは師匠の作品です。 着物のバッグは小さくて、少しでも荷物が増えると困ります。 今は悩んだ末に紙袋をもたれてる方多いと思いますが。 帯地で作ったトートバッグです。 マチもあって、沢山入りますが、スッキリして邪魔になりません。 いつも使う人の事を考えているからこそ出来上がってきた作品です。 

        

続いて、草履の職人を紹介しましょう。 草履とはごくごく簡単に言っても 台を作る職人 鼻緒を縫う職人 鼻緒の先つぼを縫いとめる職人 鼻緒を曲げる職人 鼻緒を台にすげる職人と数多くの人の手を通って出来上がります。 全て手作業。 その中の一人でもいなくなったら草履は出来上がりません。 だから最初になくなるだろうと言われています。 着物や帯にお金をかけても草履まで目を向ける方は本当に少ない・・・ でも草履が無くなったらどんな高価な装いがあっても、出かけることは出来ないんですよね・・・

今回は、技術を守るため、後継者を育てるため、本来出来高制の給与体制を見直し、生活の保障を与えるためあえて会社の社員として迎え、後継者を残そうと努力している大阪の草履メーカーから 台を作る20代の職人と鼻緒の職人(30代)の二人の若者を紹介しようと思います。 二人とも大学(大学校)を卒業して職人になりました。 二人とも実家は呉服や草履とはなんの縁もありません「何でこの仕事を選んだの?」 と聞くと二人とも「ものづくりがしたかったから」と言います。 が、見よう見まね最初はきっと本当に大変だったと思います。 「まだまだです」という彼と、「たいしたことしてないですよ」とクールに淡々と仕事をこなす彼 私には対象的に映りましたが、彼らがいるから少しは安心です。 

 これは最近復活させた草履 「三味型」と言います。三味線の胴の形に似ているところから名前がついたそうです。 後ろの角も細くなっているので、とってもスマート。 一見何が違うのかわからないのですが、「きれい・・・」と感じる草履です。

 これも最近復活させた草履です。 「じかずけ」と言います。 何が大きく違うかわかりますか? そう台が薄いんです。(この台に鼻緒をすげるのはとっても難しい・・・) 昔は芸者さんや舞妓さんが普段に履いていたそうです。 台も小さく薄いので、いつも足元に注意を払い、脚の指に力を入れて履かないと足袋が汚れてしまいます。 そう、足が大きくならないように、綺麗に足を運ぶように、いつも訓練していたそうなんです。 今のひたすら楽な草履を求める私たちとは大違いですが・・・ ですが、今でも足元に注意を払うことは、綺麗な動きや、着物姿では洋服より目立つヒップを綺麗に保つことに繋がるかもしれません!!

ここでは作品を紹介しましたが、会場では、特に草履に関しては、仕事をしている様子。 草履の製作の様子を写真でパネルにして紹介しています。 なかなか見ることは無いと思いますので、是非パネルを見に来ていただきたいと思います。 そして、同時に若い職人たちが丹精込めて作り上げた作品たちも手にとって見ていただけると幸いです。